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  1. ベッドからの転落事故
 

ベッドからの転落事故

2008/09/30

Q 入院中の患者がベッドから転落してケガをしたので、その患者から損害賠償請求をされていますが、当院としては賠償に応じなければいけないでしょうか。

 

A

医療機関は、入院中に設備によって患者が怪我をしないように配慮する義務が診療契約上の付随義務として認められているといっていいでしょう。そのため、医療機関は院内の安全設備を整備することが必要ですし、またベッドなどの家具についても怪我をすることがないように配慮する必要があります。

そして、ベッドにおいては転落を防止するための柵など設置するなど転落防止の器具を整備する必要があると考えられます。したがって、かような安全設備がなく転落してしまった場合には、医療機関は診療契約上の債務不履行責任を負う可能性があります。

では、柵などを設置していてもそれ以上に動いてしまって転落してしまった場合、どうなるでしょうか。

病状によっては、身体的拘束をして、安全を確保する義務が認められる場合もあります。ただし、身体的抑制は、患者の尊厳の確保の観点から必要最小限に考えるべきであるという考えもあり、厚生労働省は、平成13年3月に「身体拘束ゼロへの手引き」を発表し、当該患者又は他の患者の生命又は身体を保護するために緊急やむを得ない場合でない限り、身体拘束は許されないという基準を発表しました。すなわち、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件を全て満たした場合に限って身体拘束が認められるとしています。

したがって、安全に過剰に反応して拘束をすると、かえってその行為自体が患者の尊厳を傷つけ、かえって慰謝料などの請求がされかれないことになります。

この点について参考となる判例があります。大阪地方裁判所平成19年11月14日判決(判例時報2001号58頁)は、県立病院に入院中の患者がベッドにより転落受傷した事故について、病院の医師、看護師に過失が無いとして県に対する損害賠償請求を棄却した例です。

同判決は、上肢に限定した抑制措置を講じたことは、患者の状態等から考えると適切な措置であったと認め、事故発生について医師や看護師の過失を認めませんでした。裁判所は、抑制帯について患者が説明をしていたこと、患者の体動の状態、抑制について限定的に行うべきこと等の要素から総合的に判断しているようです。したがって、常に抑制帯を用いる必要があるか否かは議論の余地があり、それは結局患者の状態にもよるということです。

医療機関としては患者の状態をよく見極めながら状況に応じて抑制帯などの利用をおこなって事故の発生を防ぐ努力をしていかなければならないと思われます。

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