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  1. 人間ドック
 

人間ドック

2008/09/30

Q 人間ドック実施時の医師の注意義務はどのように考えれば良いでしょうか。

 

病気の早期発見のために人間ドックは様々な医療機関で実施されているところですが、人間ドックを実施している医療機関及び医師は受診者に対してどのような義務を負うのでしょうか。

この点について、東京地方裁判所平成4年10月26日判決(判例時報1469号98頁)がその義務の内容を明確にしているところです。

このケースは、人間ドックを受診した際、便潜血検査の結果がプラスワンであったが、実施医療機関が独自の基準を採用して、検査結果を通知せず再検査や精密検査を指示しなかった。その後、S状結腸癌であることが診断されたが、根治的治療がもはやできず、転移性肝癌のため死亡した事案です。

人間ドックにより精密検査の機会が与えられていれば確実に救命が可能であったのに再検査や精密検査を指示しなかったため、早期発見早期治療の機会を奪われて手遅れとなって死亡したとして、遺族は損害賠償請求をしました。

裁判所は、人間ドックは、疾病、特に癌や糖尿病といった成人病の早期発見と、適切な治療を受けさせるためのアドバイスを主たる目的として行われるものであり、受診者も当時の医療水準における適切な診断とアドバイスを期待して人間ドック診療契約を締結するのであるから、人間ドックを実施する医療機関としては、当時の医療水準に照らし、疾病発見にもっとも相応しい検査方法を選択するとともに、疾病の兆候の有無を的確に判断して被験者に告知し、仮に異常があれば治療方法、生活における注意等を的確に指導する義務を有するというべきであるとし、(但し指導義務について過失があったものの、死亡との間に因果関係は認めなかった)被験者は適切な指導を受けることにより大腸癌を含む疾病の早期発見、早期治療の機会を得ることを期待していたというべきであり、この期待は法的保護に値するものとし、期待権侵害による慰謝料請求を認めました。

この裁判例からは、人間ドックの場合にも、検査方法をきちんと選択し、異常があれば告知し、異常の場合には治療方法等を指導する義務があるといえ、医師としては右義務を怠らないようにしなければならないといえるでしょう。また、同じく定期健康診断においても、同様のことがいえると思われます。

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